ブラック個人事業主の社員の物語②~とある派遣バイトの末路

ちょうど2年前、

セミがギーギー鳴いたり寿命が来て木から落ちたりしている街路樹を見上げながら、俺は携帯を取り出した。


マナーモードにしたワイモバイルの格安スマホがジージー震えている。

『ソフト闇金リブート』からの着信だ。


どうしよう。

昨日の闇金のときはレターパックでの郵送返済だったから、

届くまで1日かかるのを利用して違う住所に送ってうまくごまかした。


リブートへの前回の返済の時は、

返済口座番号を聞いた瞬間警察に電話して口座凍結させて時間を稼いだ。


でも2度目は通用しない。


払わなかったら親の職場にも連絡すると言われている。


俺のおやじは新生銀行本社の管理職だ。


昔ソフト闇金の返済が遅れておやじの職場に電話された時は、

おやじがすぐに払ってくれたが本気で怒られた。


その時おやじが借金をすべて払ってくれたのに、また借金する事になったのはギャンブルのせいだ。

パチンコは金に余裕がないと勝てない。


遅い。

『個人間融資の田中』とやらはいつ来るんだ。

返済の期限は午後3時までなのに。

やっぱりTwitterなんかで出会ったやつは信用できない。

イライラで携帯をにぎる手が震えると、やっと着信がきた。

「遅くなりました。どんな格好してますか?」

白の長袖Tシャツにジーパンです。

「あっ、見えました。」

ぷっぷーっと2回クラクションを鳴らすと、ピンクのリネンシャツに白い短パンの男がにこにこして現れた。


「どうも田中です。駐車場止めたら喫茶店行きましょうか」


金貸しだから竹内力みたいな怖いお兄さんが来ると思っていたが、

何のことは無い。ふざけたカラフル野郎だった。


ルノアールに入るとウエイトレスが水を持ってくる前に、にこにこしながらアイスティーを注文した。

せっかちな性格らしい。


俺は免許証を見せて給料明細を出すと、

ソフト闇金から借りている事を話した。


6件借りていて、毎日のように返済日が来る。

利息だけで毎週4万円払っている。

給料より高い金を払えるわけがない。

完済で17万だ。

俺の給料より高い。


田中はうんうんとただ聞いている。

「借り入れはそれだけですか?」

はい、と答えながら心の中では借りれるわけがないと思っていた。

「貸しますか、うん、貸しましょ。」

田中は軽くそう言い放った。


ほんとかよ。どうせ口座でも作らされるんじゃないかと警戒した。

「でもね、その前にいくつか聞きたい事があるんです」

田中は俺に10個くらい質問をしてきた。

好きな芸能人の事、パソコンを開いたらいつも何を見るのか、などどうでもいい事ばかりだった。

俺はめんどくさいし答えたくなかったから、適当に話していた。


田中は真夏の太陽のようににっこり笑うと、

「うん、いいですよ。貸しましょ。その代わり」

出た。口座を作らされるのか。

「私の社員になって下さい。」

は?

時が止まった気がした。


田中の目はセサミストリートのエルモのようにらんらんだ。

こいつは一体何が楽しいのだろうか。

別にいいけど、俺があっけにとられて答えると、

「じゃあ広告の打ち方から教えるから。

やる気あんの?ないの?ないなら先に言って。今の話は無しにするから。

あるなら容赦なしで仕事してもらうから。悪いけど休みとか一切ないよ。

あと24時間電話には出れるようにしといて。

行けって言われたらどこでも行けるよね?

さすがに明日アフリカに行けとは言わないから安心して。」

行きたくないです。


こうして俺は、東京で一番労働基準法を無視している奴と一緒に仕事する事になってしまった。


そして田中は、個人間融資で初めて人を雇うことになった。


「月収50万まではすぐだから。月収100万超えたいなら半年は我慢しな。」

とりあえず今の派遣バイトより稼ぎはだいぶ増えそうだ。


文:梅田彰

編集:田中嫁

ブラック個人事業主の社員の物語①~アキラは今日も睡眠不足

ブラック個人事業主の社員の物語①~アキラは今日も睡眠不足


今回は田中と一緒に働いている、私梅田彰が執筆しました。


労働基準法無視のブラック個人事業主の下で馬車馬のように働かされる

おしんのような物語です。


是非ご覧下さい。



枕元のiPhoneがけたたましく鳴った。

頭は痛いし死ぬほど眠い。

一体何時だと思ってるんだ。


見なくても誰かわかってる。

休日の朝、めざましテレビが始まるかどうかの時間に電話してくるやつなんて田中くらいしかいない。


明日は休みとりますね、と言った時、わかった、と言うから昨日は横浜関内のキャバクラで朝まで飲んで、

田中の行動範囲の外の街で今日はゆっくり寝ようと思っていたのに。

ホテルに着いて1時間もしないうちにこれだ。

若い人間に嫌がらせをするのが趣味なんだろう。


不満は田中のカローラの故障箇所くらいたくさんあったが、

とりあえず電話に出てやった。


「もしもし、田中さんは朝が早いですね」


田中にはイヤミは効かないらしく、

「おはよ。解体屋に送ってるおっさん電話出ないよ。」

と開口一番仕事の要件を言ってきた。


田中は個人融資家だが、俺は田中にもう一つのビジネス、人材派遣を任されている。

建設業や家電量販店にスタッフを派遣する仕事だ。


普通は求人で集めたスタッフは、工事現場を1日でバックレたり、寝坊して怒られるのが気まずくてそのままいなくなったりする奴らが8割だ。


でも田中は、取引先の解体屋の橋本親方から絶対の信頼を得ている。

田中の紹介は飛ばない。


そりゃそうだろう。

面接したスタッフを現場に送る前に、

スタッフの家に行って家族とご飯を食べたり、

スタッフの友達も呼んで酒を飲んだりして、

田中は好きなスタッフしか現場に送らない。

それでもスタッフがバックレたら、

ヘルメットかぶって自分が代わりに現場に行くのが田中という男だ。


今回はアキラが派遣したおっさんが初日の朝で連絡つかなくなり、

橋本親方から田中に電話がかかってきたようだった。


「でアキラどこいるの?」

横浜です、と答えると、田中は

「やっぱりアキラは横浜で待機してたんだね。代わりに現場行って仕事してきて。」

と、また無茶を言い出した。


もちろん俺は

「嫌ですよ休みなんだから」

そう言って電話を切った。

田中に付き合ってられない。


まあ偶然作業着、ヘルメット、安全帯と安全靴もキャリーバッグに入ってるし、とりあえず橋本親方には電話した。


「アキラちゃんどこ?横浜かーありがとね。そっから現場までどれくらい?」

20日ぶりの休みを皆そろって台無しにしてくる。

仕方ないから用意していた寅壱の作業着に着替えながら答えた。

「現場から近いホテルにいるんで20分もしませんよ。」


吐きそうだったから水をがぶ飲みして、すぐに現場に向かった。


現場の白い仮囲いが見えたから、橋本親方に電話した。

着きましたよ、とアキラが言うと、

「アキラちゃんごめんねー。今日からのおっさん電話出たよ。寝坊したけど今電車で現場向かってるって。」


いいですよ親方のせいじゃないでしょ、と答えて電話を切ると、

あまりにも眠いので近くの立体駐車場に止めて車で寝た。


今度は田中が絶対寝てる時間に電話してやろう。


思えばあの日、Twitterなんて見なければ良かったんだ。

なんであの時あんなやつの話を聞いてしまったんだろう。

超高速で金持ちになる方法④~④は読む必要ない。とりあえず動け

お金が欲しい人の考え方は

明日からじゃなく今からやる

金持ちになるまで借金しようが大怪我しようが止まらない


それだけです。

在日中国人を見てください。

金のためならなんでもやるでしょう?

金が欲しいならその真似をしてください。


私が小学校の頃は野良猫を捕まえて売っていました。

「貧乏でご飯が食べれないから、猫も手放すことになりました。買ってください。お願いします。」

「うちじゃエサもやれないんです。」

とか無茶苦茶言って買ってもらいました。

子供だからビジネスはできないなんて思った事ありません。

子供だからできることは何かな?

と考えていました。


あなたはどうですか?

派遣バイトだからその日暮らしで何もできないと諦めていませんか?

だったら一生諦めたままでいて下さい。

マンガ喫茶暮らしだからギリギリの生活で何もできない?

笑止千万です。


私がマンガ喫茶暮らしなら、パソコンを利用して情報商材を売ります。


ビットコイン必勝法とか、金持ちになれる方法とか、ああいう怪しい商売は違法ではありません。

それっぽい事を言ってそれっぽい写真を貼りつけてブログを書けばいいだけです。

セミナー代金で50万円取れば部屋が借りられるようになります。


しゃべりに自信がないから営業できない?

それなら風俗のスカウトでも初めて練習して下さい。


何も思いつかないなら、営業の会社に1日だけ入ってやり方をパクって自分でやるのもいいです。


私が10代の頃は、営業の会社に1日だけ入ってコピーして、

勝手に自分で始めただけで月100万円以上稼ぎました。


農家でオレンジをもらって車で売り回ってもいいし、

親戚や知り合いに不動産屋の社長がいるなら賃貸の営業を自分で始めてもいいし、

あなたがやらないだけで、仕事は無限にあります。


下に何人も社員がいて全員食わせていくなら大変ですが、

個人なら月100万くらい楽勝です。


ただ一つ言えるのは、

ビジネスは好きじゃないと絶対できません。


連載当初に書いたメイウェザーの言葉が実践できますか?


あなたも今すぐ挑戦しますか?

超高速で金持ちになる方法③~It's the only NEET thing to do

何もしなくても金が入るシステムを作る?

そんなシステム思いつかないよ、

というあなた。

諦めて今のバイトを続けて下さい。

それかセミナーに行って高額の情報商材を買わされて借金地獄になって下さい。


諦める人と、他力本願の人に未来はありません。


今回は私の子供の頃の事、

あまり面白い物語じゃないですがお話しましょう。


遡ること十数年前、中学を出た直後、15歳の頃のお話です。



くそったれ。

俺の最後の1000円はジャグラーに飲まれた。

海で6連して換金したらそのままやめときゃ良かったんだ。

恭介といるといつもこうだ。

金貸して。

「やだよ俺も負けたんだよ」

恭介は舌打ちしながら言った。

こうなるからパチンコ行きたくないって言ったんだ。

恭介、最後の1000円まで使っちゃえよ。

勝ったら貸してよ。

「やだよ明日の現場のめし代だよ」


海物語の時短が終わってしばらくすると、恭介の玉がなくなった。


恭介は最後に残した千円札を俺に見せてこう言った。

「俺ら2人の明日のめし代だけしか残ってねえよ」

人のことまで心配しやがって。

本当に恭介といるといつもこうだ。



俺と恭介はとなりの中学の同級生だ。

俺は小学五年から学校に行ってないから、恭介と出会ったのは隣町の団地だ。


恭介は夜間清掃のバイトをしていた。

日給1万円日払いのつまらない仕事だ。

後輩の親父のところで鳶をやった方がよっぽど給料がいい。

でも鳶をやって将来親方になりたいとは思わない。


大学なんて出るのはもっとしょうもない。

親戚の兄ちゃんは大学を出たけど工場で月給18万で働いている。

大学に出るのにいくらかかったか知らないが無駄銭だ。


俺もバカだけど、サラリーマンや土方になるくらいなら大金持ちになるか死んだ方がマシだ。

人生は一度しかない。

ビッグになってやる。


だがさっきのジャグラーでビッグは引けなかった。

明日こそはビッグになってやる。


明日は恭介の夜間清掃のバイトを手伝う予定だ。

掃除屋なんてやったことないし、

やりたくもないが、俺には作戦がある。

明後日は大久保のグランパでライター来店イベントがある。

ビッグを引いて、

俺と恭介の給料を5倍に増やす壮大なプランの、これはフェーズワンだ。


恭介の夜間清掃は、人手が足りないとスポットで入れる。


恭介の家でロクヨンスマブラをやって暇をつぶし、20時になると団地の下に集合した。


団地の下に掃除屋のハイエースが到着した。

やる気のないアンガールズの田中みたいなオッサンが班長だった。

髪もボサボサだ。


アンガールズは運転しながらパチンコの話ばっかりだ。

勝ったらピンサロに行くらしい。

お前が来たらピンサロ嬢もつらかろう。

同情していると、現場についた。


ポリッシャーという芝刈り機のような電動ブラシをハイエースから下ろすと、パチンコ屋に入った。

店を一周して掃除の段取りを考えていると、

店長らしき人物が書き物をしていた。

挨拶しに行こうと近づくと、はっとした。

健二くんじゃん!

店長は地元の友達の兄貴だった。


「おー田中、お前掃除屋のバイトか」

いや一日だけの手伝いだよ。

ってか健二くん店長なの?

「そうだよ」

若いのに店長とは大したもんだと思った。


パチンコ店は清掃業者に月うん百万払っているそうだ。

どうりで広いフロアがいつもピカピカなわけだ。

それなのにバイトは日当1万か。

だったら俺と恭介で掃除するから百万くれよ。

納得させるために言えないお金の話もしてみた。

「いいよ」

この店は店長がまあまあ自由に経費を扱える仕組みになっているようだった。

なんだか面白くなってきた。


大久保のパチンコで勝った俺たちは、恭介の掃除屋の倉庫から勝手にポリッシャーを借りて、恭介の親父のデリカに積み込み、健二くんのパチンコ屋の掃除に向かった。

俺と恭介と、中学の後輩2人の4人だ。

最初は無免許だった。

恭介はわくわくだ。

「ほんとに俺に月50万くれるの?」

当たり前だ。

健二くんのパチンコ屋以外にも、もう一店舗契約済みだ。

夜間清掃の契約の代わりにキックバックを渡すと言ったら簡単だった。

三百店舗くらい営業すれば、まだまだ契約は取れるだろう。


片っ端からパチンコ屋の店長と交渉するのはつらかったが、

口から勝手に言葉が出てくるようになると、営業がおもしろくてしょうがなくなった。


契約店舗が増えると、後輩の中学生たちに日当八千円やって現場に出した。

大学生に小遣いをやって運転もさせた。


遊ぶ金が欲しかったはずなのに、

気づいたら仕事の方が楽しくなっていた。


廃品回収を始めたのは18の頃、

営業の会社を作ったのは20の時だ。

貴金属の買取で多少ご飯が食べられた。


それも2年以内に切り上げて、本格的に個人間融資を始めたのは10年前だ。


来年からまた違うことを始める。

超高速で金持ちになる方法②~子供でもできる?金持ちへの道

努力をするのはわかったよ。

でも何をどう頑張ればいいの?

皿洗いを頑張っても給料は変わんないぞ!


その通りですね。

じゃあウォーレンバフェットは子供の頃何をどう頑張ってお金を雪だるま式に増やしたのでしょう?


彼が子供の頃

新聞配達の給料で最初にやった投資は、「ピンボールゲーム」でした。

え、ギャンブル!?

いえ、違います。


ジャンク品の中古のピンボールゲームを買って、手先が器用な友達と修理し、

近所の床屋に置いたのです。


床屋のお客さんは順番を待ってる間、ピンボールゲームに百円を入れてヒマをつぶします。(アメリカなので正確には百円ではなくクォーターコインです)


そのお金は床屋の店主と折半。

少年バフェットはその収入でさらに次のピンボールゲームを購入し、

隣町の床屋の店主に営業をかけました。

「中古ゲームの会社の者です。」

金になれば嘘もつきます。


数ヵ月後には街中にバフェットのピンボールゲームが置かれました。

少年はこうして何もせずに大金を稼ぐ方法を初めて実感しました。


その金で畑を購入して人を雇って作物を作ったり、

ガソリンスタンドを経営して失敗したり、

大人になってからはデパートを購入して経営改革してから売ったり、

どんどん加速していくのですが、


その理念は、

「手に入れた金が新たな金を生むシステムを作る」

そうすれば雪だるま式に金が増えていく。

これが自叙伝の題名となった“The Snowball”です。


わかりましたか?

時給がいいバイトに切り替えていくのは、金持ちになる人間の考えではありません。


金持ちになりたいなら働いて手に入れた30万より、

働かないで手に入る5万円を生み出すシステムを作ってね、って事です。


そして数年後にあなたはリッチなニートになって下さい。

リッチなニート、最高の響きです。


毎月5万円生み出すシステムを作る為に本気で努力した事がないなら、もう一つあなたに教えましょう。


「成し遂げるための方法はただ一つ、やるだけだ」


私の話を聞いて「へぇーそうなんだー、いい考えだなー」と感心して、

次の日には忘れていつもの日常に戻るなら、

無駄なのでこの先を読む必要はないです。


これからお伝えするのは私の経験も踏まえてあなたにお届けする、

リッチニートになる為の、


たった一つの冴えたやり方

It's the only NEET(neat) thing to do


次章をご覧下さい。

超高速で金持ちになる方法①~まずは単純に根性論

私はわりと小金持ちです。

よく「月収100万くらいあるんですか?」と聞かれますが、洞察力のある人はこう聞いてきます。

「いつも100万稼ぐのに何日くらいかかるんですか?」

月収は毎月毎月増えています。


昔強盗に狙われてからは家にセコムをつけています。


皆さんお金持ちになりたいと思っているはずですが、

口を揃えてどうしたらいいかわからないと言います。

そんなの本当に簡単なのに、なぜ行動しないのかと不思議に思うほどです。

ただ「やってみれば誰でもできる」

これだけ覚えておいて下さい。

ヒルズの詐欺師みたいに高い教材を買わせたりしないので安心して下さい。


皆さんにはまずヒントからお伝えしようと思います。


ウォーレン・バフェットという男をご存知ですか?


人類史上最高の投資家と言われている男です。

新聞配達で稼いだわずかなお金で少年時代にビジネスを始め、

10代の頃から次々と新たなビジネスに着手し、世界で三本の指に入る億万長者となりました。


バフェットの自叙伝“The Snowball”は原書だと六法全書くらいの厚さなので読むのは大変かもしれませんが、

ポイントは単純です。


①バフェットはビジネスが大好きで、24時間365日約90年間ビジネスの事しか考えてない


②自伝の題名(雪玉)の通り、新聞配達で稼いだわずかなお金を雪玉のように転がし、どんどん大きくしていった


③一つのビジネスではなく年々進化していく


字に起こすと単純ですが、

ウォーレンバフェットは三つの取り組みを世界で一番の努力で行っている人です。


やっている事は簡単だけど実行は大変です。


お前が休んでるとき、俺は練習している。

お前が寝てるときも、俺は練習している。

お前が練習しているときも、もちろん俺も練習している。

フロイド・メイウェザー


ひとつ言えるのは、

面倒くさがりのあなたには無理です。


メイウェザーは死ぬほどボクシングが好きだから、

イチローは死ぬほど野球が好きだから、

バフェットは死ぬほどビジネスが好きだからできるだけです。

生活や家族の為に働いている人には真似できません。


え、普通は生活や家族の為に働くだろって?

バフェットの私生活も人間性も普通ではありません。


私は10代の頃、初めて本気で好きな仕事に出会いました。

そこからはもう止まりませんでした。


あなたはまだ見つかっていませんか?

何をやればいいかわからない?

それなら次の章で相談に乗りましょう。

ある日の昼下がりの話~個人間融資の日常②

ステレオでTwiceをかけて第一京浜四車線を飛ばすとつい口ずさみたくなる。


今日も昼ごはんはハンバーガー。

お客さんの元へ向かいながら食べるから、いつもおにぎりかマックしか選べない。

せっかくこの前ジョギングして落としたカロリーが水の泡だ。


1件目横浜の後は2件目相模原に融資だ。

最後は品川で夜の融資。


帰って集計が終わる頃には夜中の1時を回っているだろう。

僕の365日は毎日こんな感じだ。

サラリーマンはやった事ないが、週に一度休みがある生活なんて信じられない。

こんなに楽しい仕事を休んで何をするのか思いつかない。


東神奈川駅に着くと、

初めましてのお客さんだから到着の電話で服装を聞いて確認する。


黒のTシャツを着た大工のおじさんが先について待ってくれていた。


僕は銀のカローラを止めて運転席の窓を開け、会釈した。

こんにちは。融資の田中です。

「あーどうも遠いとこすいません」

にこにこして挨拶してくれた。

ネットで連絡して本当に来るのか不安だったのかな。


相談内容は、今借りている金融業者がきつくて生活できないという事だった。

最初は闇金の話かと思っていたが、闇金ではなく貸金業登録している正規業者の話だった。


「月3割近く取られてるんです」

貸金業登録している正規業者なのに月3割なんて最近少ないが、平成2911月現在もそんな裏金融が実在する。


神田の消費者金融アイ〇〇スは、8万円借りたら一ヶ月後に10万円1500円を完済しなければならない。


普通に考えたら違法だが、アイ〇〇ス

のやり方はこうだ。


『10万を融資します。1500円の利息を付けて来月完済して下さい。

ただし、あなたはこのままでは審査が通らないのでこちらの保証会社を付けてください。

保証会社の料金は2万円になります。

ですので本日お渡しできるのは8万円になります。』


なるほど合法だ。


お客さんの給料はいくらですか?

20万です。家賃とご飯代を引いたら毎月十万も残りません。毎月完済する約束だから、給料日になんとかアイ〇〇スに101500円を持っていくんです。でも返したと同時にまた借り直して、結局毎月2万ちょっと取られるんです。」


なるほど完済するルールだからまた借りざるを得なくなり、毎月保証会社の料金という名目で利息を取られているのか。

綺麗なアリ地獄だ。


債務整理しましょ。

僕は率直な意見を言った。

相手は闇金じゃない。

会社に嫌がらせをしてくる事は無いですよ。

「弁護士ってお金かかるでしょ?」

弁護士の代金は僕が貸します。

弁護士の先生には僕から分割払いの話をしておきます。

「分割できるんですか?」

大丈夫ですよ。

そもそもお金がないから債務整理するのに、いっぺんに手付金を払えるとは弁護士先生も思っていない。

「お願いします」

大工のおじさんはゆっくり頭を下げた。

その言葉を聞いたら僕は責任を持って最後まで対応する。


余談だが、

昔から金融問題に強い弁護士は、あまり広告を出さない。


例えば、

しも〇〇し事務所は事務的な話し方だ。

「私〇〇法律事務所の者です。△△さんの代理人となりました。」という連絡をするだけだ。

債権者からしたらこんな電話が来ても無意味だし、普通に家を知っているから自宅に来られておしまいだ。

会社にも嫌がらせが来るから仕事もクビになる。

能力のない司法書士なら使わない方がいい。


事務的な対応と六法全書の知識で解決できる金融トラブルなんて、この世の中に存在しない。


金融トラブルは極めてデリケートな案件だ。

家族や会社に迷惑を掛けたくない、家に来られたくない、

債務者のいろんな気持ちを逆手に取って回収にくる。

六法全書の知識で家族や会社への迷惑を防ぐことはできない。


半分くらいの弁護士や司法書士は手付金をもらう事しか考えてない。

ネット広告を大々的に出すと、有名になるから手付金も取りやすい。


だが中には有能な司法書士もいる。


例えば兵庫の鈴木厳士先生は間違いない。

ここでは名前は出せないが、東京にも有能な先生はいる。


本題に戻ろう。


僕は大工のおじさんに東京で一番能力の高い先生を紹介した。

弁護士に払うと財布の中身がカラになるという事で、

生活費も融資した。

でも結局こうなったのはパチンコのやりすぎだ。


ギャンブルの病気は簡単に治らない。

勝手にパチンコ屋に足が向かってしまうのを止めることはできない。


そんな自分とうまく付き合って生きていくには、

給料が入ったら口座に10万入れて、

通帳とキャッシュカードを川に捨てるか、

親に預けるしかない。

自分を管理する方法は自分で考えればきっとわかる。

あとはやるかやらないかだ。


僕に相談に来る方には、

まともな生活に戻ってほしい。


ちゃんと家賃と携帯代を払って、

闇金に借りずに、

パチンコやキャバクラも給料の範囲で使ってほしい。


毎日金に追われて頭を抱え、

ストレスで消耗する生活から解放されたら、

どんなに気分が晴れることか。


返済日は給料日に合わせた。


全額返せないのはわかっている。


3ヶ月かかっても4ヶ月かかってもいい。


その代わり、人と人との約束を破るような汚い事だけはしないで欲しい。

あとは何も文句は言わない。


この人なら大丈夫?

そんなのわからない。

僕は人の心が読める超能力者じゃない。


でも僕は大工のおじさんの事が好きだ。

昔ながらの職人で、

金が無くても若い職人にご飯をおごってやるタイプだろうな、と思う。

やっぱりパチンコと酒は大好きだ。


「ありがとうございます、助かりました」

僕はつぎのお客さんの家をナビに入れてアクセルを踏んだ。


感謝される事もあれば、恨まれる事もある。


お客さんと友達になる事もあれば、

騙された経験もある。

若い頃はお客さんと恋したりもした。


個人間融資はただの仕事じゃなく僕の生き方だ。


10年後もっと経験を積んで大人になった僕は、

もっとお客さんにとっていい融資ができるといいな。


今は自分にできることを精一杯やるしかない。